ROAD TO UC / CHAPTER 06
4 Defining Leadership Principles
Haasの4つのリーダーシップ原則
原本 p.61–71

この章では、UC Berkeley Haas School of Businessが掲げるリーダーシップ原則「4 Defining Leadership Principles(4DLP)」を学びます。
4つの原則の公式定義を押さえた上で、先輩たちの解釈や具体例を通して「言葉の意味」を自分の経験と言語化に落とし込みます。
最終的には、エッセイや面接で4DLPを“理解している”だけでなく、“自分の行動として語れる”状態になることを目指します。
原本 p.62
4 Defining Leadership Principlesとは?
UC BerkeleyのBusiness学部 (Haas School of Business)が定義するリーダーに必要な4つの原則です。
- Question the Status Quo
- Student Always
- Confidence Without Attitude
- Beyond Yourself
Haas Admissionは4つの原則を学生が理解しているかで判断しているためHaasへの編入を考えている学生は必ず理解しなければいけない最重要事項です。また、Business major以外のmajorであっても、UCはリーダーシップを重んじているため、一つ一つの概念を理解して行動することで合格へ近づくことができます。
Officialの定義
At Berkeley Haas, we believe that a fundamental step in redefining the business leader is to get our culture right, because this culture encourages students to develop the mindset and behaviors of innovation leaders.*Haasオフィシャルサイトから抜粋
Berkeley Haasでは、ビジネスリーダーを再定義するうえでの根本的な一歩は、私たちの文化を正しく築き上げることだと考えています。なぜなら、その文化こそが、学生がイノベーションを牽引するリーダーの思考と行動を身につけることを後押しするからです。
原本 p.63
4DLPの4つの原則①
Question The Status Quo
Haas Officialの定義
We thrive at the epicenter of innovation. We make progress by speaking our minds even when it challenges convention. We lead by championing bold ideas and taking intelligent risks.*Haasオフィシャルサイトから抜粋
私たちは、イノベーションの中心地で成長します。慣習に挑むことになっても、自分の考えを率直に述べることで前進します。大胆なアイデアを支持し、賢明なリスクを取ることでリードします。
Haasの先輩たちの解釈
Question(疑う) = そのような通説、常識、自分の現状にチャレンジしていく姿勢。Challenge The Status Quoとも捉えられる。
Status quo(現状) = すでに認められている組織、世の中ですごいとされているもの、脳死で価値があると信じられているもの、常識、自分の現状。
Critical Thinking(批判的思考) や、Reframing(思い込みや固定観念を別の視点から捉え直すことで、新しい見方を得る思考法)、メタ認知(物事を客観視できたり、多面的に考察できたりすること)に近い考え方。
原本 p.64
Question The Status Quoに近い考えを持つリーダーの例
コペルニクス/ガリレオ (地動説)
当時のヨーロッパでは、「天動説(地球が宇宙の中心)」が常識であり、宗教的・社会的にも強く支持されていました。しかしコペルニクスは、観測や計算にもとづき「地球が太陽の周りを回っている」という地動説を提唱し、社会の“当たり前”に疑問を投げかけました。
さらにガリレオは望遠鏡観測などを通して地動説を支持し、批判や圧力がある中でも証拠にもとづいて主張を続けたことで、科学の進歩を加速させました。
常識だから正しいではなく、本当にそうか?を問い直す姿勢が、Question The Status Quoの本質。
リード・ヘイスティングス (Netflix)
当時の映像レンタル業界では、店舗で借りて返す仕組みと、延滞料金が“当たり前”でした。リード・ヘイスティングスはこの慣習に疑問を持ち、「月額制」「延滞料金なし」「郵送で返却」という仕組みで、既存のルールそのものを作り替えました。その後も、DVDレンタルからストリーミングへと大胆に転換し、業界の前提を更新し続けました。
慣習に合わせるのではなく、顧客視点で前提を疑い、賢いリスクを取って変革するのがQuestion The Status Quo。
原本 p.65
4DLPの4つの原則②
Confidence Without Attitude
Haas Officialの定義
We make decisions based on evidence and analysis, giving us the confidence to act with humility. We foster collaboration by building a foundation of empathy, inclusion, and trust.*Haasオフィシャルサイトから抜粋
私たちは、証拠と分析に基づいて意思決定を行い、謙虚に行動する自信を与えます。私たちは、共感、インクルージョン、信頼の土台を築くことで、コラボレーションを促進します。
Haasの先輩たちの解釈
Confidence = 事実(Fact)やデータ(Data)に基づいて判断し、行動できている状態。
Fact/Data = Qualitative(質的)=経験・観察・具体的エピソード、Quantitative(量的)=数値・統計・指標。
Attitude = 傲慢さや感情的な反応が前に出てしまっている状態。
Without Attitude = 根拠に基づいて自信を持ちつつ、驕らず謙虚に振る舞えている状態。
原本 p.66
Confidence without Attitudeに近い考えを持つリーダーの例
大谷翔平 (二刀流)
大谷翔平は、二刀流という前例の少ない挑戦に対して、さまざまな批判や懐疑の声を受けながらも、自分の道を貫き続けました。彼が揺るがなかったのは、「気合」や「勢い」による自信ではなく、日々のトレーニング、身体管理、試合の振り返りといった積み重ねを、記録や数値として捉え、改善を重ねてきたというFactとDataがあったからです。
一方で、大谷は結果を出してもそれを誇示せず、慢心や傲慢さを見せません。批判に対して感情的に反論するのではなく、やるべき準備に集中し、行動と結果で示し続け、チームを引っ張っています。批判する側は表に見える結果だけを見て判断しがちですが、本人は裏側のプロセスまで根拠として持っているため、周囲の評価に振り回されません。
根拠(Fact/Data)に基づいて自信を持ちつつ、態度ではなく努力と結果で語る姿勢が、Confidence Without Attitudeの本質。
原本 p.67
4DLPの4つの原則③
Student Always
Haas Officialの定義
We are a community designed to support curiosity. We actively seek out diverse perspectives as part of our lifelong pursuit of personal and intellectual growth. There is always more to learn.*Haasオフィシャルサイトから抜粋
私たちは、好奇心をサポートするために作られたコミュニティです。私たちは、生涯にわたって個人と知的成長を追求する一環として、多様な視点を積極的に求めています。学ぶべきことは常にあるのです。
Haasの先輩たちの解釈
Student =学生であること。「自分はまだ伸びる」と捉え、分からないことを素直に認めて吸収し続ける姿勢。
Always =うまくいっている時も、結果が出ている時も継続すること。失敗した時だけでなく、日常的に振り返り、改善を続ける習慣化の姿勢。
Student Always =常に学ぶ者であり続け、学びを行動に落として更新し続ける姿勢。Life-long Learning(生涯学習)に近い考え方。
原本 p.68
Student Alwaysに近い考えを持つリーダーの例:
坂本龍馬 (改革者)
坂本龍馬は、時代が大きく動く中で「自分はまだ学ぶ立場だ」と捉え、立場や常識に縛られずに学び続けた人物です。たとえば彼は、土佐藩という枠の中だけで物事を判断せず、藩を出て各地の志士と会い、情報を集めました。さらに、当時の日本にとって未知だった海外の制度や貿易の考え方にも関心を持ち、世界の流れを学びながら「これからの日本に必要な仕組み」を考えるようになりました。
学び方も「読んで終わり」ではありません。龍馬は学んだ内容をもとに、自分の行動を更新していきました。たとえば、対立する立場の人たちの間に入り、視点の違いを理解しながら合意形成を試みたり、武力だけに頼らず、政治や経済(貿易・産業)の視点で国の未来を構想したりしました。つまり、知識を増やすだけでなく、学びを判断と行動に落として“やり方”を変え続けたのです。
成功や立場に満足せず、学びを通して考え方と行動をアップデートし続ける姿勢がStudent Always。
原本 p.69
4DLPの4つの原則④
Beyond Yourself
Haas Officialの定義
We shape our world by leading ethically and responsibility. As stewards of our enterprises, we take the longer view in our decisions and actions, This often means putting the collective good above our own interests.*Haasオフィシャルサイトから抜粋
私たちは、論理的かつ責任ある行動を取ることで、世界を形作っています、私たちは、企業のスチュワードとして、長期的な視野に立って意思決定と行動を行います、これはしばしば、自分たちの利益よりも集団の利益を優先することを意味します。
Haasの先輩たちの解釈
Beyond =「〜を超えて」。目先の損得や短期的な評価ではなく、より大きい視点(長期・社会・未来)で考えること。
Yourself =自分の利益、都合、感情、プライド、評価など“自分中心”になりやすい基準。
Beyond Yourself =自分自身の利益や都合を超えて、チームやコミュニティなどの集団の利益(Collective Good)を優先し、倫理的・責任ある行動を取る姿勢。
原本 p.70
Beyond Yourselfに近い考えを持つリーダーの例:
ラリー・ペイジ(Google共同創業者)
もし「自分の損得」だけを優先するなら、検索技術は“限られた人だけが使える有料サービス”にして、短期的に利益を最大化する道もありました。しかしラリー・ペイジは、世界中の情報を整理し、「世界中の人々がアクセスして利用できるようにする」という目標を掲げ、より多くの人が情報に辿り着ける仕組みを作ることを優先しました。結果としてGoogleは巨大企業になりましたが、出発点は「自分だけの得」ではなく、社会全体の利便性や価値(Collective Good)を広げる発想でした。
自分の利益に偏らず、全体のために責任ある判断をする姿勢がBeyond Yourself。
原本 p.71
4DLPは「4つの項目」ではなく、1つの連鎖するプロセス
UC Berkeley Haasは、Defining Leadership Principlesをこの教材と同じ順序で提唱しています。これは、4つが独立したものではなく、前の原則が次の原則を支えることを示しています。
まず Question the Status Quo は、現状や常識を前提にせず、改善点や可能性を見つける出発点となります。新しい価値は、問いを立てない限り生まれません。
次に、問いを行動に変えるために必要なのが Confidence Without Attitudeです。ここでは、根拠に基づいて判断し、謙虚さと協働性を保ったまま実行することが求められます。問いがあっても、感情やエゴでぶれてしまえば、周囲の信頼を失い、変化は前に進みません。
しかし、根拠ある判断も一度で完成するものではありません。だからこそStudent Always が続きます。多様な視点を積極的に求め、学び続ける姿勢によって、判断の質を更新し、行動を改善し続けることができます。学びがあるからこそ、問いは深まり、実行は洗練されていくのです。
そして、この3つが土台になって初めて到達するのが Beyond Yourself です。Beyond Yourselfは、倫理と責任をもって長期的な視点で意思決定し、自分の利益よりも集合の利益(collective good)を優先することを意味します。これは単なる優しさではなく、①問いによって本質的課題を見つけ、②根拠と謙虚さで合意形成しながら動き、③学びによって判断を磨き続けるというプロセスが揃ったときに、はじめて継続的に実行可能になります。
さらに、Beyond Yourselfによって生まれた行動と成果は、新しいStatus Quoをつくります。だから4DLPは直線で終わらず、Beyond Yourselfが次のQuestion the Status Quoを呼び起こす循環として機能するのです。
本文は教材のPDFから移したものです。図や文字の配置は「原本を見る」または全文PDFで確認できます。
